インターネット以前の世界

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ハイスタ全曲紹介⑦ ~ Turning Back

ズバリ言い切ってしまおう。

この曲のモチーフはずばり、RAMONESの"Durango '95"だ。

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ラモーンズは70年代の初期パンク、ニューヨーク・パンクバンドの元祖にして頂点といえる伝説の存在だ。ボロボロのジーンズに革ジャンを羽織って、シンプルな3コードの短い曲を矢継ぎ早に演奏した。実に20年以上も「偉大なるワンパターン」と、ファンはもちろん同業ミュージシャンたちにも慕われ続け、その後のシーンに多大な影響を与えた偉大なバンドである。

 

現在は(というかとっくの昔に)解散、そして残念だが主要メンバーもほとんどが亡くなってしまっているので、再結成の見込みはない。だが曲は永遠に生き続ける。この"Durango"を知らなくても、"電撃バップ(Blitzkrieg Bop)"という曲には聞き覚えのある人は多いだろう。甲本ヒロト曰く、「千人ロックンロールが好きな人がいたら必ず千人とも知っている」という、あの曲である。

 

 

ラモーンズの晩年のライブはSEでメンバーが登場した直後、"Durango '95"でド頭一発目を飾ることが多かった。

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各ライブのセットリストにご注目。ラストライブまでほとんどこんな感じ。これぞ偉大なるマンネリズム!

 

デュランゴはいわゆるパワー・コードのみの、完全インスト曲。単純といえば単純、しかも一瞬で終わる。しかしそれだけにスピード感と高揚感に溢れ、初っ端の景気付けにはうってつけ、ついでにサウンド・チェックと客の反応の確認も兼ねることができる。ハイスタがこの構成にヒントを得たであろうことは想像に難くない。

 

というわけで"Turning Back"と名付けられたデュランゴによく似たこの曲は、ハイスタのライブでも当然のように冒頭でカマされることが多かった。そのままアルバムでの構成通りに"Standing Still"に流れ込むのが王道パターンだったが、意外性を狙ったのだろうか、時にはまったく真逆にオーラス(一番最後)に回されることもあった。

「今日はアンコールはありません!」との宣言の直後叩きつけられるように演奏された新宿ロフトのライブ、あるいはこれを演奏した直後にメンバーがモッシュ・ピットに飛び込み客にもみくちゃにされたフジロック・フェスティバルでのパフォーマンスなど、要所要所で印象に残る重要な曲で、その意味で決して捨て曲ではない。

 

 

音源が正式発表される前からライブではちょくちょく演奏されていた。

わずか33秒の曲。今の何だ? と思った頃には、とっくに次の曲に突入していた、という微かな思い出が残っている。