インターネット以前の世界

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ハイスタ全曲紹介④ ~ New Life

ハイスタのブレイク前夜……といっていいと思うが、90年代の半ば、ラジオ番組『99(ナインティナイン)のオールナイトニッポン』でこの曲のベース・フレーズが多用されていた。

 

ナインティナインのオールナイトニッポン - Wikipedia

ゲスト出演時のCM明けには、Hi-STANDARDの『NEW LIFE』のイントロにのせて、ゲストが何らかのコメントとタイトルコールをしているジングルが事前に作られ使用されている。

 

おかげでこの中毒性のあるリフは一気にライトユーザーにも拡散され、音楽シーンに興味はなくとも「あれっ? これは聴いたことあるぞ」という層をかなり押し広げることとなった。

ハイスタはその後大ブレイクしてからも、一切大手メディアには出演しなかったので、ここだけ切り取られ拡散されたのはとても奇妙で不思議な感覚であった。ハイスタの名前を知らない人たちでも、このベースラインだけはなぜか知っていたのである。

 

この有名なイントロには実は元ネタがある。
現RANCIDの前身バンド、OPERATION IVYの"Big City"がそれだ。

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ギターをベースに移し替えて弾くと、うーん、確かに似ている。その後の展開やコード進行も、NEW LIFEのほうが後発なのでさすがに手を加え凝ってはいるが、印象としてはそっくりである。パクリは言い過ぎにしても、原曲だとは言えるだろう。

 

というか実際のところ、この事実は難波氏の公認でもある。

自身のTwitterで証言が取れているので(「言わないで」と言ってはいるがダチョウ倶楽部の法則を適用して)それもここで引用してしまおう。

 

 

 

ところで"New Life"にはプロモーション・ビデオ(今ではミュージック・ビデオといううのだろうか?)が存在する。

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アメリカン・ホーム・コメディ風のこのPV、MVに登場している男の子は、盟友バンドHusking bee のオリジナル・メンバー、平本レオナ氏の実弟である。

横山健氏はハスキンのアルバムプロデュースもしてるし、レオナ氏とは飲み友達でもあったというから(打ち上げではここがコンビ化することが多かったらしい)、その縁で出演が決まったのであろう。

 

横山氏はここではピザ配達員に扮しているが、氏は実際にピザ屋でアルバイトをしており、それがPIZZA OF DEATHの名付けネタになったというのは今ではファンには有名な事実。

なので、ここで土木作業員を演じている難波氏は、ツルハシを持ってその手のバイトをしていたのではないか、という憶測がファンの間で飛び交っていた。

よく考えてみればバンドマンのバイト先まで予想するなんて、余計なお世話を通り越してそもそもいったい何が楽しいんだという話だが、このPVの収録VHSが出た96年頃といえばインターネットも一般にろくにない時代。

そしてメディアにまるで登場しないバンドに対して、ファンの想像力は手持ちの材料を極限まで駆使することで、どんどん掻き立てられていったのである。

 

後年、難波氏からこんな写真が発表された。少なくとも警備員のバイトはしていたようだ。同じガテン系バイトとはいえ非なる職ではあるし、結局ツルハシまで持っていたかどうかはわからないが、当たらずとも遠からず、というところか。

http://twitpic.com/2tlby5

 

 

歌詞の内容は、憧れの都会で一発当ててやろうという野心を隠しもせず、青春真っ盛りを謳歌する若者のリアルな心情。

前述のベースの件にしても、詞の内容からしても、これはメンバー中唯一の地方出身者である難波氏の作った曲ということでほぼ間違いない。氏もファンだという長渕剛氏の、ハイスタ版"とんぼ"という解釈は、さすがに言い過ぎだろうか。

 

 

My youth comes only once in life

My life is my own choices

 

一生のうちで青春なんて一度しかないんだから

オレの人生は誰でもない

オレ自身が決めるんだ